ホーム 》 身近な野草や樹木を観察しよう…!!! 》 ナンテン

冬に赤くなるナンテンの葉

メギ科

赤くなったナンテンの葉
2010年3月2日…兵庫県川西市

 冬、日当たりのよい場所のナンテンの葉を見ると上の写真のようになっていました。赤くなっています。ごくふつうに見かけるようすです。では、下の写真と比べてみてください。

 違いはすぐに分かりますね。違いがどの場所かも上の写真と比べると分かります。どうしてこのような模様ができたのでしょうか。ヒントは下の写真です。

2010年2月20日…大阪府池田市細河

 ナンテンが茂っています。左が日光のあたる側、右が日陰になっているほうです。両方を比べると太陽の光があたっているほうの葉が赤くなっています。

 光合成(こうごうせい)のできる場所が赤くなっています。

 緑色植物は太陽の光を受けて光合成をし、でんぷんなどの炭水化物を作っています。光合成は、葉の細胞の中にある葉緑体で行われています。葉緑体はクロロフィルとも呼ばれています。葉緑体は葉緑素という緑色の色素をもっているので葉は緑色に見えます。

 ところが寒い冬、クロロフィルによって作られたでんぷんは水にとける水溶性のもになって木の幹に送ることをせずに、葉のついている場所にためていきます。このたまったでんぷんに光があたって気温が下がるとアントシアニンに変わります。アントシアニンは赤い色素です。そのため光があたった葉は赤くなります。紅葉も同じようにアントシアニンによって起こっていますが、落葉する植物は葉柄に離層ができます。そこから葉が落ちます。常緑の植物には離層ができず、でんぷんの転流をさせないで葉にためこんでいます。これは糖度を高めて細胞内の凍結をさけるための植物の寒さ対策なのです。

 春になると、この赤くなった葉はまた緑に戻ります。ほかにもこのように赤くなった植物は多く見られます。探してみましょう。

 ところで、ナンテンの新しい芽も赤い色をしています。やわらかく弱い芽を表面にアントシアニンでおおうことによって紫外線から弱い部分を守っているのです。

(菅井先生の指導のもとにまとめました。)